KPTで進めるふりかえり:1時間の進行例と、形だけにしないコツ

プロジェクト管理2026年11月7日公開読了目安 約5分

目次
  1. ふりかえりの目的
  2. KPTの3つの枠
  3. 1時間で終える進行例
  4. 形だけにしないための注意点
  5. まとめ

プロジェクトを進めていると、同じ手戻りや連絡漏れが何度も起きることがあります。
原因に気づいている人がいても、話す場がなければ、やり方は変わりません。
ふりかえり(レトロスペクティブ)は、一定の期間ごとにチームで仕事の進め方を見直し、次に変えることを決める場です。
この記事では、ふりかえりの枠組みとしてよく使われる KPT について、書き方、進行の例、形だけにしないための注意点を解説します。

ふりかえりの目的

ふりかえりの対象は、成果物そのものではなく、仕事の進め方です。
コードの品質や仕様の誤りは、レビューやテストで扱います。
ふりかえりでは、たとえば次のような点を話します。

  • 作業の分担や、引き継ぎの方法を見直す。
  • 会議やチャットでの、情報の伝え方を見直す。
  • 見積もりと実績のずれの原因を探る。
  • 使っている道具や、手順の手間を減らす。

目的は、誰かの責任を問うことではありません。
「次の期間に、何を1つ変えるか」を決めることがゴールです。
この点をチーム全員が共有していないと、発言が減り、ふりかえりが報告会になってしまいます。

KPTの3つの枠

KPT は、Keep・Problem・Try の頭文字です。
ホワイトボードやオンラインの付箋ツールに3つの枠を作り、参加者が意見を書いていきます。

枠 書く内容 例
Keep うまくいったので、続けること PRに画面のスクリーンショットを付けたら、レビューが早く終わった
Problem うまくいかなかったこと、困ったこと 仕様の変更がチャットに散らばり、実装後に気づいた
Try 次の期間に試すこと 仕様の変更は、課題管理ツールのチケットに必ず書く

Try は、Keep を伸ばすものと、Problem を解決するものの両方から出します。
Problem だけに注目すると、反省会の雰囲気になりやすいためです。

付箋の書き方

付箋は、あとで読み返しても意味が分かるように、具体的に書きます。

  • 1枚に1つの事柄だけを書く。
  • 「いつ・何が・どうなったか」を書き、感想だけで終えない。
  • 人の名前ではなく、出来事や仕組みについて書く。

たとえば「レビューが遅い」ではなく、「水曜に出したPRが、金曜までレビューされなかった」と書きます。
事実が書かれていれば、原因と対策を話し合いやすくなります。

1時間で終える進行例

2週間ごとに、5人程度のチームでふりかえりをする場合の進行例です。
時間は目安で、チームの人数や期間の長さに合わせて調整します。

時間 内容 ポイント
0〜5分 前回の Try の結果を確認する 実施できたか、効果があったかを短く話す
5〜15分 各自が Keep と Problem を書く 話さずに、黙って書く時間にする
15〜30分 1人ずつ付箋を読み上げ、似たものをまとめる この時点では議論せず、質問だけにする
30〜45分 話し合う Problem を選び、原因を話す 投票で2〜3個に絞る
45〜55分 Try を出し、実施するものを決める 担当者と期限を決める
55〜60分 決めた Try を読み上げて終える 記録の置き場所も確認する

最初に前回の Try を確認するのは、決めたことが実行されたかを確かめるためです。
実行されなかった Try は、内容が大きすぎたのか、担当が曖昧だったのかを話し、作り直します。

良い Try と、実行されにくい Try

Try は、次の期間で実行できたかどうかを判断できる形にします。

実行されにくい Try 実行しやすい Try
コミュニケーションを良くする 朝会で、ブロックされている作業を1人ずつ話す
レビューを早くする PRを出したら、チャットのレビュー用チャンネルに投稿する
テストを充実させる 不具合を直すときは、再現するテストを1本追加する

「良くする」「気をつける」のような言葉は、行動が決まっていないため、実行したかどうかを判断できません。
誰が、いつ、何をするかが読み取れるまで、言葉を具体的にします。

形だけにしないための注意点

ふりかえりは、続けるうちに決まった流れをこなすだけの場になりがちです。
よくある失敗と、その対策を挙げます。

Try が多すぎる

10個の Try を決めても、通常の作業と並行して実行するのは困難です。
1回のふりかえりで決める Try は、1〜3個に絞ります。
残った案は記録に残し、次回以降の候補にします。

Try が記録されず、忘れられる

決めた Try は、課題管理ツールのチケットにするなど、日々の作業と同じ場所に置きます。
議事録だけに残すと、次のふりかえりまで誰も見ないことがあります。

特定の人への批判になる

Problem が個人の行動を指していると、言われた人は身構え、ほかの人も発言を控えるようになります。
「Aさんの確認が漏れた」ではなく、「確認の手順が決まっていなかった」のように、仕組みの問題として扱います。
進行役は、個人を責める発言が出たら、話題を出来事や手順に戻します。

いつも同じ人だけが話す

声の大きい人の意見だけで Try が決まると、ほかの人の困りごとが残ります。
最初に黙って付箋を書く時間を取り、全員の付箋を順番に読み上げると、発言の偏りを減らせます。
進行役を持ち回りにするのも有効です。

Problem が出なくなる

何回か続けると、「特に問題はない」という状態が続くことがあります。
その場合は、Keep を中心に話し、うまくいっている点をほかの作業に広げる Try を考えます。
問いを変えるために、KPT 以外の枠組みを一度試すのも1つの方法です。

まとめ

KPT は、Keep・Problem・Try の3つの枠で、仕事の進め方を見直す方法です。
効果を出すために押さえる点は、次の3つです。

  • 付箋には、感想ではなく、具体的な出来事を書く。
  • Try は1〜3個に絞り、担当者と期限を決めて、作業と同じ場所で管理する。
  • 次のふりかえりの最初に、前回の Try の結果を確認する。

最初の数回は、うまく進まなくても問題ありません。
「ふりかえりの進め方」自体もふりかえりの対象にして、チームに合う形に少しずつ変えていきます。

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